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DEAD PAN SMILES

大上流一さんが中野planBで長年続けてきたソロ演奏活動のうち、2004年から2013年までの記録、その一部を5枚組CDにまとめた作品。時間をかけて聴き、受け止めた。驚異的な内容である。量的な厚みとか持続に対する思いを一旦措いて、知覚のしなやかさとみなぎりを味わうよう求めてくる。

ずいぶん長い間、planBのイベントスケジュール表に毎月その名前を見ていた。彼がどういう人か知ることのないまま、私はいつも頭の中に、あのplanBの暗い空間で一人ギターを弾き、自分の音に向き合う演奏家の姿を思い描いていた。5枚組CDには演奏家が暗がりに手を伸ばし、まさぐり続けた行程がほぼ時系列に沿って収められている。しかし、まさぐるとは言っても、出音は常に冷静に見つめられ、美意識を裏切ることはなかった。

最近になり共演の機会を得て、彼の音に直かに接すると、楽器が放つ倍音のもやの上の方を聴きながら演奏していることがよくわかった。

この作品は、大上さんが未来に向けて蒔いた種子。何人かの人が行動を起こすだろう。

tamaru
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