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Pat Martino

あれよあれよという間にいろんなことが通り過ぎていくから、何か肝心なものを失いつつあるんじゃないかと不安になるのだろうか。こういうブログにしても、何も書かない時間がびゅんびゅん過ぎ去っていく、その間に大きな出来事もあるのだけど、でも大きな出来事だから書き留めなければいけないというわけでもないだろう。ただ心の中の切実さは、噛みしめるように生きていたい。

Pat Martinoの「WE’LL BE TOGETHER AGAIN」は、デュオ名義になっていないが、全編Gil Goldsteinのエレピとの共演。ギターと鍵盤は音域が被ったりして、バランスが難しい組み合わせだと思っていたが、本作は前に出てこないエレピのコードと、太弦を鳴らす単音中心のマルティーノ節が溶け合って、不思議な影を投げかけあうような味わい。エレピでよかった。普通のピアノでは、こうはいかないと思う。しかし、こんな至福盤があるとは知らなかった。Evans & Hallの「UNDERCURRENT」など不動の評価だが、まったく異なる世界だ。この作品の本質は、ジャズを超えたところにある何かだろう。ほの暗いこの音を、長く聴き続けることになりそうだ。

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