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名古屋・浜松ツアー

2月フライヤー表

キャプチャ2


コロナウイルス忍び寄る2020年2月15日午後、増渕顕史さんと品川から新幹線に乗って名古屋へ。演奏2日間、凝縮した楽しさでした。ご来場の皆様、スキヴィアス服部さん夫妻はじめ関わってくれた全ての方々に感謝。宮原照和さん伊藤大樹さんの気高い音の清流、素晴らしかった。

思い返すと、この2日間自体は楽しかったんだけど、行く前の仕事の過密が心底キツかった。終わらない終わらない作業。睡眠不足で体力限界。本当にツアーなんて行けるのかなという重圧感。

こういうふうに2日続けて演奏する機会、自分は滅多にないことで、これは、前日の演奏を反省して手馴れてくるというより、少し遠視的な捉え方が自分の中に生まれてくる気がした。でも終わると、やはり消えてしまう。増渕さんは全ての演奏を録音し、聴き返しているそうで、スティーヴ・レイシーと同じだ。本当はそれを自分もやるべきなんだろう。ただし結構つらい作業だと思う。終わったことに向き合うつらさと、あと録音のこと考えると用意や操作も含めて、演奏の気が散るから。

だから、音に向き合うとか演奏に向き合うとか言いつつ、実は自分の中の残像だったり、さまよい揺らぐ思念を相手に、向き合っているような気分というのがある。すると充足していかない。捉えどころのなさ、そこがいい、というふうに自分は思えないし、はっきり言って演奏は生き方と切り離した方がいい。

宮原照和さんの音の見詰め方、丁寧な紡ぎ方。伊藤大樹さんの音楽への意思、太くしなやかに変幻する描線。多くの人に知ってほしいし、その機会はあると思う。それにしても伊藤大樹さん。会場に現われた彼を一目見て、私はその佇まいから来る印象に、演奏を聴く前から信用してしまった。

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