sahoux

とりいそぎ

細かくお知らせする時間なくて、とりいそぎ
http://www.sahoux.net/archives/54091557.html

演奏について

演奏は生き変わること。新しく生きる、そのための演奏。
演奏は自分を知ることでもある。

自分が演っている音楽は、お客さんとの関係が一回こっきりになることが多いと思う。もちろん見守り続けてくれるお客さんもいるが、いつも新しいことを演る音楽だから、人間関係の変化を伴う。その日の演奏が立会ってくれる最後になるかも知れないという淵が常にある。だから、その一回こっきりの記憶の中に残っていく、そういう演奏であるべきだ。もう一つ思うのは、マスメディアとかに大きく扱ってもらえるような要素がない、動画配信等で伝わる部分も少ない音楽だから、演奏自体の中に全て持ち込んで進んでいくしかない、ということ。

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福島恵一さんのレビュー

当方ソロ演奏について、そして津田貴司さん松本一哉さんとのトリオ演奏について、福島恵一さんから長文のレビューをいただいた。自分の演奏について何かを書こうとすると、必ず違和感やらぎこちなさが後から感じられてきて、言語化の不得手を痛く自覚するところだが、福島さんの正確な言葉、その前提となっている正確な聴取、その結果として形象がくっきりと質量をもって浮かび上がる様、揺るがぬ外科医の手並みのよう。こちらは裸を晒し、こわごわと診断を訊く気分でもある。深みのある仕事に掬い取ってくださったことにひたすら感謝。

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震えへの凝視 ― tamaruのエレクトリック・ベース演奏

フリー・インプロヴィゼーション/フィールドレコーディングのパラタクシス あるいはキスの作法 ― Les Trois Poires

DEAD PAN SMILES

大上流一さんが中野planBで長年続けてきたソロ演奏活動のうち、2004年から2013年までの記録、その一部を5枚組CDにまとめた作品。時間をかけて聴き、受け止めた。驚異的な内容である。量的な厚みとか持続に対する思いを一旦措いて、知覚のしなやかさとみなぎりを味わうよう求めてくる。

ずいぶん長い間、planBのイベントスケジュール表に毎月その名前を見ていた。彼がどういう人か知ることのないまま、私はいつも頭の中に、あのplanBの暗い空間で一人ギターを弾き、自分の音に向き合う演奏家の姿を思い描いていた。5枚組CDには演奏家が暗がりに手を伸ばし、まさぐり続けた行程がほぼ時系列に沿って収められている。しかし、まさぐるとは言っても、出音は常に冷静に見つめられ、美意識を裏切ることはなかった。

最近になり共演の機会を得て、彼の音に直かに接すると、楽器が放つ倍音のもやの上の方を聴きながら演奏していることがよくわかった。

この作品は、大上さんが未来に向けて蒔いた種子。何人かの人が行動を起こすだろう。

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Pat Martino

あれよあれよという間にいろんなことが通り過ぎていくから、何か肝心なものを失いつつあるんじゃないかと不安になるのだろうか。こういうブログにしても、何も書かない時間がびゅんびゅん過ぎ去っていく、その間に大きな出来事もあるのだけど、でも大きな出来事だから書き留めなければいけないというわけでもないだろう。ただ心の中の切実さは、噛みしめるように生きていたい。

Pat Martinoの「WE’LL BE TOGETHER AGAIN」は、デュオ名義になっていないが、全編Gil Goldsteinのエレピとの共演。ギターと鍵盤は音域が被ったりして、バランスが難しい組み合わせだと思っていたが、本作は前に出てこないエレピのコードと、太弦を鳴らす単音中心のマルティーノ節が溶け合って、不思議な影を投げかけあうような味わい。エレピでよかった。普通のピアノでは、こうはいかないと思う。しかし、こんな至福盤があるとは知らなかった。Evans & Hallの「UNDERCURRENT」など不動の評価だが、まったく異なる世界だ。この作品の本質は、ジャズを超えたところにある何かだろう。ほの暗いこの音を、長く聴き続けることになりそうだ。

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2016年個人的発掘CDベスト3

Gavin Bryars 「THREE VIENNESE DANCERS」
薄暗い舞台で行われている、何事か判然としない演者たちの踊に目を凝らすような、甘美な時間。中盤の弦楽もさることながら、フレンチホルンとパーカッションのアンサンブルが素晴らしい。1986年作品、ECM。

V.A. 「ANOTHER COAST」
Carl Stone、Paul Dresher他のコンピ盤。デスクトップサウンドシンセシスの黎明を示すも、デモンストレーション的な安易さは皆無。祝祭的な抽象空間を緻密かつ抑制された音で彫刻。1988年作品、MUSIC & ARTS。

Bill Frisell 「IN LINE」
ジャズフィールドの即興演奏とエフェクティブな音響表現の間を溶解した先駆者の1stソロ作。アメリカの土が匂う夢遊的サウンド。圧倒的なオリジナリティがすでに完成・確立されている。1983年作品、ECM。

以上、順不同。図らずもすべて1980年代、30年前の作品が揃った。これらの発掘盤以外に、新作CDでもいい出会いに恵まれた。オークションや中古盤で安く入手したものも多く、ラッキーな一年だった。

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JACO

映画「JACO」観た!実はそんなに期待もせず、まあ関係者インタビューと過去映像のコラージュだろうと。それでも観に行こうということだったのだが。で、実際そういう作りの映画だったのだが、予想外に大きなものを受け取ってしまった気持ちだ。

たぶん、それほど多くの人が観に行く映画ではないだろうし、おすすめしたいとか、そういう気持ちもないけど。制作してくれた人には素直に感謝したい。ただ、ジャコの話題って、あまり人と共有したくない。

音がその人自身と分かちがたくある、というのはどういうことか、どうしてそうなるのか。一つ言えるのは、そういう人は初めから、あるいはかなり早い段階からそういう風なんだよね。楽器との交感ということで言えば、ジャコなんて最大限に振り切れているわけで。他人が誰も手出しできないという。だから楽器との交感度が高いミュージシャンは、孤独でもある。

あと最近思ったこと、でもないか、以前から思ってたけど書かないと忘れてしまうことなんかをここに。ツイッターにはすぐ書けるんだけど。

椅子に座ってベースを弾いている人を見る時、ストラップを着けているかどうかに注目している。意外に着けている人多いよ。あれは演奏にすごく違いが出ると思う。特に即興の要素がある音楽の場合は、フレーズに影響する。ストラップを着けないでベースを弾くと、最初は心許ないんだけど、だんだん自由度みたいなのが感じられて、いい気分になる。

ミュージシャンて、本物っぽいということが決定的に重要。「本物」は理解の問題だけど、本物っぽいってのは価値そのもの。体験そのもの。

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晩秋へ

仕事の時間、仕事以外の無為な時間も、多くを机上のPCに向き合って過ごしている。昼夜問わず、時々睡魔に囚われ、意識が混濁する。その意識混濁の入口が得も言われぬ刹那で、何やらいろんな人と会話しているような賑やかさを感じたり、湯に浸かっているような気分だったり、言葉や音楽が宙に漂っているようでもあり。

インプロビゼーションとか実験的な音響というのは、本質的なものへの孤独な潜航だと思っていた。依然としてその通りなのだが、最近は「供応」ということに目が向いてきた。そこでふるまわれるのは「幻視の贅沢」であり、それを守ることに意識的でありたいと思う。では何がそれを阻害するのかというと、演奏者と演奏と観客を馴染ませる日常性に他ならない。その浸透の手ごわさに、幻視も贅沢もたやすく消失する。

晩秋。勤労感謝の日は、長年ストイックな即興演奏活動を持続してきた大上流一さんと初めて共演する。今すごくスピード感のある演奏がしたい気分。でもそれは、その場になるまでどうなるかわからない。
大上流一インタビュー ←即興演奏に関する丹念で明晰な、なおかつアクロバティックな思考。「即興は生命活動に直接関わること」という発言に注目。

tamaru

sr20161123

「SHIELD REFLECTION」 大上流一 × tamaru
日時:2016年11月23日(水・祝)open 19:30/start 20:00
料金:1,500円
会場:水道橋「ftarri cd shop」 文京区本郷1-4-11地下1F

another door

杉林恭雄さんが円盤で開催していた即興演奏のイベント「Qの会」が6月で終わり、名残惜しいというか、もったいないというか、そんな気持ちになって、「another door」という自主イベントを開催することにした。

横川理彦+杉林恭雄 duo/christophe charles solo/sawako+tamaru duo/2016年9月22日(木・祝)19:00 open/2,000円+drink/JR大久保・ひかりのうま

「横川さんと共演したこと、ありますか?」と杉林さんに訊くと、「ないです」との返事で少々驚いた。キャリアの長い2人のフィールドは、割と近接していると思っていたのだ。で、初共演を目論んだ。2人は、音楽の懐がどこかで繋がっていそうな気がして。でもどこか、ものすごく違っている気もして。その重なり合い・響き合いを見届ける。

サワコさんのライブ表現に感じる孤独。自分の場合、そういう人と演奏しないと、アブストラクトな共演って甘い感じになっちゃうから。シャルル教授はソナー哲人。彼の指先が機器/楽器を操作する1ミリ、2ミリ。その深さ。

そういうわけです。

tamaru

anotherdoor

ズラズラ書き

この夏。ピーク時は、カブトムシオス2匹・メス3匹、クワガタオス2匹・メス1匹。ウチのマンション内および近所で捕まえたもの、もらってきたもの。中型ケース2箱にオスメス分けて飼う。交尾すると、産卵後すぐ死んでしまうらしいので。その甲斐あって長生きしたが、8月が終わって今はクワガタオス1匹・メス1匹を残すのみ。飼育係?当然ワシ。もうすっかり食も細くなったが、一時はエサやりとコバエ対策、土の入れ替えなど環境整備に追われた。

プールは区営も豊島園も行かなかったな。川遊びイベント、お寺遊びイベント。妻実家の新潟県村上市、2週間滞在で子ども大満足。ワシはもちろん仕事があるので3泊4日。これでものんびりした方。他にもいろいろあったけど、とにかく基本は仕事と子ども。けっこう濃い夏だったかな。9月に入って、シン・ゴジラ2回観たり、歯医者にかかったり。仕事途切れず。

このところのCDずらずら(年明け以降)。ほとんど再発物や中古入手。野呂一生1stソロはよかった。カシオペア2nd、懐かしさ噛みしめつつ。LEVEL42「アーリーテープス」これも蛇ロテ、でもジャケが手抜き過ぎ。初めての山中千尋、新作。これは名盤の雰囲気ある!と思った。ちょっと歪むのはウチの環境のせいか。ナシメント「トラベシア」は中古発見。ナナ=ネルソン・アンジェロ=ノヴェリの再発。エブリシング・プレイ「POSH」を入手。ステレオバージョンなり。Lamp「ランプ幻想」も、みんな才能あるなぁ。小川美潮「4 to 3」この清涼なPOP感覚!これは埋もれ過ぎた超名作。こういうのが知る人ぞ知るではいかん。ホントそう思う。オールドロックでは、フリー「ファイア&ウォーター」。ブレッドのベスト盤に浸漬。一転してテクノに飢えた一時期は、砂原良徳「ラブビート」磨き込まれた素晴らしい音作り。電気グルーヴって全然聴かなかったので、卓球新作も聴いてみたくなり購入。内容よかったけど、あの宇川さんの特別仕様ジャケはすぐ終わっちゃったんだ。。。そして先週、NASA「リメンバリング・ザ・フューチャー」が米国から届き、現在に至る。

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